この作品は、ロシア革命(1917年)に先立ち、実際に起きたロマノフ王朝最後の皇帝「セルゲイ大公」暗殺事件(1905年)を基にしています。
セルゲイ大公を暗殺し、革命を成就させようとする社会革命党。彼らは、自らを「テロリスト」と称し、「テロは単なる悪ではなく、正義を実現するための正当な手段だ」と主張します。
そして、大公の馬車に爆弾を投げる実行者には、カリヤエフが任命されます。
帝政ロシアの専制政治に対して、カリヤエフは、叫びます。
「僕たちは、もう誰ひとり人殺しをしなくなるような世界を築き上げるために殺すんじゃないか!」
彼は、セルゲイ大公「個人」を殺すのではなく、「権力の象徴」としての大公を暗殺しようとします。
「僕が殺すのは、彼じゃない。僕は専制政治を殺すんだ」
しかし、テロ決行当日、目標の馬車には、大公と共に大公妃と二人の子供が乗っていました。それを見たカリヤエフは、爆弾を投げることが出来ませんでした。組織に戻った彼をテロ強硬派のステパンが批判します。
「そんな子供の事なんかどうでもいいと俺たちが決心した時、俺たちは世界を支配し、革命が勝利を得るんだ」
「カリヤエフがあの二人の子供を殺さなかったばかりに、ロシアの幾千の子供たちがこれから先何年も飢え死してゆくのか?」
カミュ(1913年-1960年)の正義に対する思想は、次の一言に集約されていると思います。
『「正義の人」という人たちはいない。
ただ多かれ少なかれ正義を愛する心の持ち主たちがいるだけだ。
生きるということは、少なくともこうしたことを認識することと、そして、われわれの行為の総計に、
われわれが世界に投じた悪をいくらかでも償うような善を少しでも加えることを可能にしてくれるのだ。』(N.R.F誌1957年6月号、7月号掲載「ギロチンに関する考察」p.1055)
この脚本「正義の人びと」に取り組むのは、3回目です。
正義とは何でしょう。それを考え続けてきました。でも、未だにそれらしい、人前できちんと語れるような解釈を見つけられません。(照準機関・髙木尋士)
schedule
9/28 fri 19:30~
9/29 sat 14:00~ 19:00~ ★プレトーク有
9/30 sun 12:00~ 17:00~
pre-talk
only 9.29 sat 19:00
『正義の人びと』と『腹腹時計と<狼>』
鈴木邦男(文筆家)✖️髙木尋士(照準機関)
place
会場住所:東京都港区六本木5-10-33 ストライプハウスビル
ticket
Price 3,000円(税込)
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原作:エリアス・カネッティ
照準機関:髙木尋士
記述機関:鶴見直斗
照準助手:市川未来
音響:大和二矢
ヘアメイク:木下恭子
制作:オフィス再生
協力:鈴木邦男 吉本千穂 Confetti Quartet Online
cast
あべあゆみ・磯崎いなほ・嶋木美羽・竹下亘・杖崎史・鶴見直斗・二之宮亜弥・ゆーま(50音順)
公演写真
撮影:吉田豊一
撮影:笹尾成二
撮影:吉田豊一
撮影:平早勉
撮影:笹尾成二
撮影:平早勉
撮影:笹尾成二
撮影:吉田豊一
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